「SNS、ちゃんとやってるんですよ。」
これ、ほとんどの飲食店オーナーさんが一度は言います。投稿もしてる。写真も頑張ってる。ストーリーズも回してる。リールも試した。なんならインスタ広告も、ちょっとだけ触ってみた。フォロワーも少し増えた。いいねもつく。でも――なぜか、来店につながってる感じがしない。
「SNSって、こんなに大変だっけ?」
ふと、そう思ったことありませんか。
周りを見ると、「今はSNSやらないと集客できませんよ」「インスタ広告、やった方がいいですよ」「インフルエンサー使えば一発ですよ」なんて、みんな簡単に言う。でも実際にやるのはこっち。時間も広告費も、ぜんぶ自腹。結果が出なかった時、誰も責任は取ってくれない。この温度差、地味にしんどいですよね。
正直に言います。
この状況、僕も全部通ってきました。
フォロワー数を毎日チェックして、一喜一憂して。バズった投稿を見て「次はいけるかも」と期待して。広告を止める勇気がなくて、なんとなく回し続けて。気づいたら、広告費だけが静かに減っていく。あの感じ。思い出すと、ちょっと胃がキュッとします。
一番厄介なのは、「失敗した」と言い切れないことです。
完全にダメだったわけでもない。数字は微妙に伸びてる気もする。誰かに聞かれたら「まあ、悪くはないです」って答えちゃう。でも心の中では、ちゃんとわかってる。「これ、正解なのか?」って。
SNSが悪いわけじゃない。
広告が全部ダメなわけでもない。
インフルエンサーが無意味だと言いたいわけでもない。
ただ一つ言えるのは、「全部ごちゃっとしたまま選ばされてる人が多すぎる」ということです。
インフルエンサー、SNS運用代行、インスタ広告。名前だけが先に歩いていて、「じゃあ自分の店は、今どれを使う段階なのか?」が置き去りになっている。
この記事では、どれが正解かは言いません。
売りたいものも、今はありません。
ただ一度、頭の中を整理するための話をします。
もし今、
「このままSNS続けて意味あるのかな」
「広告、もう一回やるべきか迷ってる」
そう感じているなら、少なくとも今日は、ちゃんと考える材料は持ち帰ってもらえるはずです。
じゃあまず、いちばん誤解されやすいところから、少しだけ壊していきましょう。
インスタ広告=集客できる、は大きな勘違いです

正直に言います。「インスタ広告を出せば集客できる」と思っているなら、一度ここで立ち止まった方がいい。これは逆張りでも煽りでもなく、現場で何度も見てきた事実です。広告と聞くと、どうしても期待してしまう。お金を払う=結果が返ってくる。フォロワーが増える=来店も増える。この感覚、かなり自然です。僕自身も最初はそうでした。ただ、ここははっきりさせておきたい。インスタ広告は集客装置ではありません。
もう少し正確に言うと、何もない状態を一気にひっくり返す魔法ではない、ということです。たとえば、お店の強みがまだ言語化されていない、価格と内容が噛み合っていない、誰に来てほしいかが曖昧。この状態で広告を回すとどうなるか。数字は一時的に動きます。フォロワーが増えることもある。リーチも伸びる。でも、来店にはつながらない。
理由はシンプルで、広告は拡声器だからです。小さな声を大きくすることはできるけれど、間違ったメッセージを正しいものに変えてはくれない。ここが一番誤解されやすいポイントです。広告は良いか悪いかを判断しません。良い店でも、微妙な店でも、同じように広げてしまう。結果として、広告は回っているのに手応えがない、という一番しんどい状態が生まれます。
よくある相談があります。「広告を出しているのに、全然来店しないんです」。詳しく話を聞くと、ほぼ共通しています。そもそも、来店したくなる理由が整理されていない。誰に向けた店なのか、その価格で本当に来てほしい客層なのか、SNS上のイメージと実際の店にズレがないか。ここを飛ばしたまま「とりあえず広告を回しましょう」は、ガソリンの入っていない車を全力で押すようなものです。しんどいし、進まない。
誤解してほしくないのは、インスタ広告がダメだと言いたいわけではない、という点です。ただ、使いどころを間違えると驚くほど効率が悪くなる。広告費は減るとき、本当に静かです。気づいたら「今月、何に使ったんだっけ?」となる。この感覚、経験がある人は少なくないはずです。
だからまずは、広告=集客できる、という前提を一度壊す。ここからじゃないと、インフルエンサーも、SNS運用代行も、正しく判断できません。次に出てくる疑問は、きっとこれです。「じゃあ、インフルエンサーならいいの?」。同じ落とし穴が、ちゃんとあります。次はそこを、正直に話します。
インフルエンサーを使えば集客できる、も半分だけ本当です

インフルエンサー施策って、正直いちばん夢があります。自分の店が誰かに紹介されて、ストーリーズが回って、コメントがついて、保存も増える。「これ、いけるんじゃない?」って一瞬テンションが上がる。あの感じ、やった人ならわかるはずです。僕も最初は、成果もあり、かなりの期待値でたくさんいろんなお店に紹介しました。
ただ、ここで一度冷静になった方がいい。インフルエンサーマーケティングは、商品や雰囲気などの「ウリ」が、時代・ユーザー・価格にきちんとマッチしていないと、わりと簡単に残念な結果になります。しかも怖いのは、大失敗に見えないこと。数字はそれなりに動くから、「悪くはなかったよねw」で終わってしまう。
インフルエンサー施策は、集客手法というより認知拡散に近い。もっと言うと、知られていない店を一気に有名にする装置ではありません。すでに魅力があり、誰に刺さる店なのかが決まっている場合に、その魅力を広げるための手段です。
よくあるのが、投稿直後だけ数字が跳ねるパターン。リーチが伸びる。フォロワーが増える。DMが来る。「行ってみたいです!」というコメントもつく。でも数日後、現場を見てみると、思ったほど店は忙しくなっていない。この瞬間に、なんとも言えない空気が流れます。
原因はかなりハッキリしています。インフルエンサーのフォロワーは、あなたの店のお客さんとは限らない。フォロワー数が多い=来店確率が高い、ではありません。住んでいるエリアも違えば、外食の頻度も違う。価格に対する感覚がズレていることも珍しくない。
さらに厄介なのが、店側がインフルエンサーの世界観に寄ってしまうケースです。写真はきれい。動画もおしゃれ。でも実際の店の雰囲気や接客、価格帯と噛み合っていない。結果、「思ってたのと違う」というズレが生まれる。このズレは、派手なクレームにはならないけど、静かにブランドを削ります。
ここで一つだけ、かなり現実的な話をします。インフルエンサー施策がハマるのは、ウリが明確で、今の時代のユーザーにちゃんと刺さっていて、その価値に見合った価格設定ができている店です。この三つが揃っていない状態で使うと、だいたい「なんとなく終わる」。
誤解してほしくないのは、インフルエンサー施策が無意味だと言いたいわけではありません。条件が合えば、かなり強い武器になります。ただし、ウリが整理されていない段階で使うと、ほぼ確実にモヤモヤが残る。「悪くはなかったけど、正解かはわからない」。この感想で終わったなら、判断としては失敗に近いです。
ここまで読んで、「じゃあ、プロのSNS運用代行なら違うんじゃない?」と思った人もいるはずです。確かに、自分でやらなくていい分、楽そうに見える。でも、そこにも別の罠があります。次はその話を、もう少し生々しく整理します。
SNS運用代行に頼めばうまくいく、と思った瞬間が一番危ない

ここまで読んで、「じゃあSNS運用代行なら違うんじゃない?」と思った人、多いはずです。正直、それも自然な発想です。投稿を考えなくていい。撮影もしなくていい。数字もレポートで見せてくれる。忙しい飲食店にとって、これほど魅力的な響きはありません。
ちなみに先に言っておきますが、弊社もSNS運用代行は請け負っています。だからこそ、ここは濁さず話します。運用代行は万能でもなければ、魔法でもありません。むしろ、期待の置きどころを間違えると、一番ズレやすい施策です。
よくあるのが、「プロに任せれば集客できるはず」という期待。投稿は確かに綺麗になります。世界観も整う。文章もそれっぽい。アカウントとしては、ちゃんと“運用されている感じ”が出る。でも、来店や売上について聞くと、話が少し曖昧になる。
理由はシンプルです。SNS運用代行は、集客装置ではなく、土台づくり。ブランドの見え方を整えたり、発信の軸を作ったり、アカウントを「使える状態」にする役割です。ここを飛ばして、いきなり結果だけを求めると、ほぼ確実に期待とズレます。
もう一つ、現場でよく見るのが丸投げ問題です。全部任せた結果、店側が何も考えなくなる。数字は月一で報告されるけど、「で、何が良くて何が悪かったのか」は腹落ちしない。気づいたら、SNSは動いているけど、経営判断には使われていない。これ、かなりもったいない状態です。
さらに言うと、運用代行が合わない店もあります。メニューの回転が早い、現場の判断が命、日々状況が変わる。こういう店は、外から完全にコントロールするのが難しい。投稿はできる。でも、熱量やスピード感が合わず、どこかズレたまま進んでいく。
じゃあ、SNS運用代行が意味ないのかというと、もちろん違います。ちゃんとハマるケースもあります。ただし条件付きです。何を目的にSNSをやるのかが明確で、集客なのか、認知なのか、採用なのかを分けて考えられている店。そして、任せきりにせず、一緒に考える姿勢があること。この状態だと、運用代行はかなり心強いパートナーになります。
ここで一度、立ち止まって考えてほしい。今の自分の店は、SNSに何を期待しているのか。来店なのか、比較検討なのか、それとも単なる情報発信なのか。ここが曖昧なままだと、インフルエンサーでも、広告でも、運用代行でも、結果は似たようなモヤモヤに着地します。
さて、ここまでで三つ出そろいました。インスタ広告、インフルエンサー、SNS運用代行。どれも間違いじゃない。でも、順番と役割を間違えると、全部ズレる。じゃあ最後に残る疑問はこれです。「結局、うちは今どれを選ぶべきなのか?」。
ここから先は、手法の話ではありません。考え方の話です。次はそこを、整理して終わり!
結局、どれを選ぶべきかではなく「今どの段階か」の話です!

ここまで読んで、「じゃあ結局、広告なの?インフルエンサー?運用代行?」と思ったかもしれません。たぶん、多くの人がこの答えを探して、この記事にたどり着いている。でも、正直に言います。ここで「これが正解です」と言える人がいたら、その人はたぶん現場を知らない。
大事なのは手法じゃありません。段階です。
今の店が、どのフェーズにいるか。それだけ。
まだ店のウリが言語化できていない。誰に来てほしいかも曖昧。価格や雰囲気も、正直ちょっとブレている。この状態で広告を回しても、インフルエンサーを使っても、運用代行を入れても、結果はだいたい似たようなものになります。数字は少し動く。でも、判断材料にはならない。
逆に、ウリがはっきりしていて、来てほしい客層も明確で、価格と価値のバランスが取れている。この段階に来ていれば、どの手法も意味を持ち始めます。広告は加速装置になるし、インフルエンサーは拡張装置になるし、運用代行は安定装置になる。
ここでよくある勘違いがあります。「とりあえず何かやらないと不安」という感情。これ、めちゃくちゃわかります。でも、何も整理しないまま動くと、あとで一番つらい状態になります。やった。お金も使った。時間も使った。でも、正解かどうかわからない。この状態が一番、次の一手を鈍らせる。
だから今日は、選ばなくていいです。
広告をやらなくてもいい。
インフルエンサーを使わなくてもいい。
運用代行を入れなくてもいい。
ただ一つだけ、持ち帰ってほしい問いがあります。
今、自分の店は「何を広げたい段階」なのか。それとも「何を整える段階」なのか。
ここが見えた瞬間に、手法の見え方はガラッと変わります。
SNSは魔法じゃない。でも、敵でもない。
使い方を間違えなければ、ちゃんと武器になります。
次に考えるべきなのは、「来店につながる広告や施策を、何を基準に判断すればいいのか」。数字なのか、反応なのか、それとも別の何かなのか。この答えは、もう少し具体的な話になりますね。
フェーズ別|飲食店SNS施策の考え方

ここまで、インスタ広告、インフルエンサー、SNS運用代行について話してきました。どれが良い悪いという話ではありません。問題はいつも、「自分の店が今どの段階にいるか」を飛ばしたまま、手法だけを選んでしまうことです。
そこで最後に、判断のための整理をしておきます。これは正解を当てるための表ではありません。今、何をやらなくていいかを見極めるためのものです。
| フェーズ | 店舗の状態 | この段階で起きやすい勘違い | 施策の考え方 |
|---|---|---|---|
| フェーズ① 土台整理 | ウリ・客層・価格が曖昧 / SNSはとりあえず更新 | 広告を出せば何とかなる | まずは何を売っている店かを整理する。できない場合はSNS運用代行など検討 |
| フェーズ② 認知拡大 | ウリはあるが、まだ知られていない | フォロワー数=集客力 | 認知目的の施策はアリ。来店は追わない |
| フェーズ③ 比較検討 | 気になる店として見られている | 数字が増えた=成功 | 世界観・一貫性・情報整理が重要 |
| フェーズ④ 来店直前 | 来店理由・価格・導線が明確 | もっと露出すれば来る | 広告や導線設計が初めて意味を持つ |
| フェーズ⑤ 拡張・安定 | 勝ちパターンが見えている | 手法を増やせば伸びる | 広告・インフルエンサーが武器になる |
この表を見て、「うちはフェーズ④だな」「まだ①かもしれないな」と思ったなら、それだけでこの記事の役割は十分果たしています。無理に施策を選ばなくていい。今の段階に合わないことを、やらない判断ができれば、それだけで失敗の大半は避けられます。
SNSが難しく感じるのは、センスがないからでも、努力が足りないからでもありません。段階を飛ばして考えさせられてきただけ。フェーズがわかれば、広告も、インフルエンサーも、運用代行も、ちゃんと整理された道具に戻ります。
今のあなたの店は、「広げるべき段階」なのか、それとも「整えるべき段階」なのか。
このフェーズを見極めた上で、来店につながる施策をどう判断するか。ここまで来たなら、もう迷わなくて済むはずです。

