少額でインスタ広告を出してみたら、フォロワーが増えた。いいねもついた。再生数も悪くない。正直ちょっと嬉しい。というか、かなり嬉しい。だってその前に、インフルエンサーにお金をかけたのに、フォロワーはほとんど増えなかった経験があるからです。「あれ?もしかして広告のほうが効くんじゃない?」そんな気持ち、自然だと思います。
しかも広告は、自分で設定できる。エリアも決められる。金額もコントロールできる。インフルエンサーみたいに「この人、本当に合ってるのかな…」と不安になることもない。数字も一応、見える。フォロワー増加、リーチ、再生数。管理画面を見るたびに「悪くないな」と思ってしまう。これ、めちゃくちゃわかります。
すると次に浮かぶのが、この疑問です。「これって、ちゃんと広告効果があるってこと?」「フォロワーが増えたなら、来店にもつながるんじゃない?」ここ、ほぼ全員が通る分岐点です。というか、通らない人のほうが珍しい。
僕も、まったく同じことを考えました。少額で結果が出たように“見える”と、人は期待します。「もう少し回せば、もっと増えるかも」「続けたら、いつか来店につながるかも」と。でもこの時点では、まだ誰も「成功した」とは言っていない。ただ、うまくいっている気がしているだけです。
ここが、インスタ広告の一番ややこしいところ。失敗しているわけでもない。かといって、成功とも言い切れない。でも数字は動いている。だから判断が遅れるし、モヤモヤが溜まる。「じゃあ、このまま自分で続けるべき?」「それとも、ここから先は代行に任せたほうがいい?」そんな迷いが生まれてくる。
今日は、この疑問に対して、感情論ではなく、現場目線で整理していきます。「広告は効いているのか」「フォロワー増=来店なのか」「この時点で何を判断すべきなのか」。答えを急ぐ必要はありません。ただ一つだけ、この導入で持ち帰ってほしいのは、“フォロワーが増えた=うまくいっている”とは限らないという違和感です。
ここから先で、その正体を一緒にほどいていきましょう。
飲食店オーナーがインスタ広告でやりがちな行動

インスタ広告を出して、少額とはいえフォロワーが増えた。ここまで来ると、人は次に“ある行動”を取ります。これはもう、ほぼテンプレです。自分もやったし、今まで相談を受けてきた飲食店オーナーさんも、だいたい同じ道を通ってきました。
まずやるのが、「なんとなく続ける」ことです。成果が出ているのか、出ていないのかは正直よくわからない。でも数字は動いているし、完全な失敗とも言い切れない。だから「もう少しだけ様子を見よう」と思う。1週間、2週間、気づけば1ヶ月。広告費はじわじわ減っていくけど、止める理由も見つからない。この“止め時がわからない状態”、かなり危険です。
次にやりがちなのが、「伸びた投稿=正解」だと思い込むこと。再生数が回った投稿、保存が多かった投稿、フォロワーが増えた投稿。これを見ると、「じゃあ、これを広告にすればいいんだな」と考えてしまう。でもその投稿、本当に来店につながる内容でしょうか。見た目はオシャレだけど、店の強みは伝わっているか。そもそも“誰に来てほしい店なのか”が、投稿から見えているか。ここ、意外と考えられていません。
さらに厄介なのが、「フォロワー増=前進している」という錯覚です。フォロワーが増えると、気持ちは前向きになります。「ちゃんとやれてる気がする」「少なくとも間違ってはいない」。でも冷静に考えてみてください。昨日フォローしてくれた人、今日あなたの店に来ますか?来ないですよね。来ないのが普通です。それ自体は悪いことじゃない。でも、ここを混同すると判断を誤ります。
そして最後に、よくあるのが「限界を感じて、代行を検討し始める」流れです。自分なりにやってみた。でも、これ以上どう改善すればいいかわからない。数字の見方も正直あやふや。毎日投稿する余裕もない。そこで「やっぱりプロに任せたほうがいいのかな」と思い始める。ここまで来ると、自分でやるか、代行か、という二択に一気に引っ張られます。
でも、ちょっと立ち止まってほしいんです。この時点で迷っている人の多くは、「自分でやるか、代行か」を考える前に、そもそも何をもって成功・失敗を判断すべきかが整理できていません。フォロワーなのか、再生数なのか、それとも来店なのか。ここが曖昧なままだと、どの選択肢を取っても、だいたい同じところでつまずきます。
はっきり言います、インスタ広告=集客できるは勘違いです

いきなり否定から入ってすみません。でもこれは、先に言っておかないと話がややこしくなります。インスタ広告を出せば集客できる、これはかなり雑な理解です。正確に言うなら、お店の条件次第で、向き・不向きがはっきり分かれる。これを無視したまま広告の話をすると、だいたい失敗します。
まず前提として、飲食店は全部同じじゃありません。立地も違えば、価格帯も違う。業種・業態も違うし、客層もバラバラです。当然、広告との相性も変わります。例えば、客単価3万円を超えるような超高級店が、わざわざSNS広告を出すでしょうか。出しませんよね。出す理由がない。予約が埋まればいいし、そもそも“広く集める”必要がないからです。
逆に、回転率が重要な業態、例えばランチが強い店や、単価が比較的手頃で「今日はここでいいか」と選ばれる店。こういうお店は、広告と相性がいいケースもあります。でも、ここで重要なのは「広告を出せば勝手に人が来る」わけじゃない、という点です。広告に合ったキャンペーンや価格帯が用意されているか。これがないと、ほぼ確実にコケます。
よくあるのが、「いつもの投稿」をそのまま広告にするパターンです。料理の写真、店内の雰囲気、こだわりの説明。悪くはない。でも、それはファン向けの発信であって、初めて見る人にとっては、来店理由にならないことが多い。広告は、知らない人に見せるものです。知らない人が見て、「じゃあ行ってみよう」と思える設計になっているか。ここが抜け落ちると、フォロワーは増えても、来店は増えません。
さらに言うと、広告と価格帯のミスマッチもかなり多い。ランチ2,000円の店で、「特別な日を演出する極上体験」みたいな訴求をしても、正直ズレます。逆に、単価8,000円の店が「気軽にふらっとどうぞ」と言っても、信用されません。広告は、店の現実を拡張するものであって、変身させるものではない。ここを勘違いすると、広告費だけが静かに消えていきます。
だから、「インスタ広告=集客できる」と一括りにするのは危険なんです。正しくは、「条件が揃えば、集客につながる可能性がある」。このくらいの距離感が、ちょうどいい。自分でやるか、代行に頼むかを考える前に、まず見るべきなのはここです。その広告、あなたの店の立地・価格帯・業態に本当に合っていますか?
じゃあ、自分でやるのは無理なのか?正直、できます。でも…

ここまで読むと、「じゃあ結局、インスタ広告って自分でやるのは無理なの?」と思いますよね。結論から言うと、できます。特別な才能が必要なわけでもないし、広告マネージャーの操作自体は、慣れればそこまで難しくありません。実際、僕も最初は独学でしたし、今も自分で回すことはあります。
ただし。ここで一つ、かなり大事な話をします。できる=向いている、ではありません。この2つを混同すると、かなりしんどくなります。
インスタ広告を自分でやるというのは、投稿を作ってボタンを押すだけの話ではありません。本来やるべきことは、もっと地味で面倒です。どんな人に見せたいのか、どの時間帯に出すのか、どの訴求が反応しているのか。数字を見て、仮説を立てて、外れていたら直す。この作業を、感情を挟まず、淡々と続ける必要があります。
ここで多くの飲食店オーナーさんがつまずきます。忙しいんですよね、現場が。仕込み、営業、スタッフ対応、トラブル対応。そこに広告の検証作業が乗っかる。「今日の数字どうだったかな」と思いながら、気づけば閉店時間。これが毎日続くと、正直、広告どころじゃなくなります。
もう一つ、自分でやる場合の落とし穴があります。それは、冷静になれないこと。自分の店の広告って、どうしても主観が入ります。「この料理は美味しい」「この写真は良い」「このキャンペーンは刺さるはず」。気持ちはわかる。でも、広告の数字は、気持ちに忖度してくれません。反応が悪ければ、ただ悪い。それを受け入れて修正するのは、思っている以上にストレスです。
それでも、「時間もある」「数字を見るのが苦じゃない」「ある程度、試行錯誤を楽しめる」。こういうタイプの人なら、自分でやるのは全然アリです。むしろ、最初は自分で触ってみたほうが、感覚が掴めます。
ただ、「なんとなく不安」「これ以上どこを改善すればいいかわからない」「広告が本業の邪魔になってきた」。ここまで来たら、一人で抱える必要はありません。大事なのは、自分でやるか、代行に頼むか、という選択そのものではなく、今の自分と店の状況に合っているかです。
代行に頼めば全部解決する?…正直、それも違います

自分でやるのが大変そうだとわかると、次に浮かぶのがこの選択肢です。「じゃあ、代行に頼めばいいんじゃない?」時間もないし、プロに任せたほうが安心そう。ここまでの流れとしては、とても自然です。実際、僕のところに来る相談も、この段階が一番多い。
ただ、ここでも一つだけはっきりさせておきたい。代行に頼めば勝手に集客できる、ということはありません。これも、かなり根強い勘違いです。
なぜかというと、代行ができるのは「広告を回すこと」であって、「お店の現実を変えること」ではないからです。立地、価格帯、客層、オペレーション、強み。これらは、代行が魔法みたいに書き換えられるものじゃない。広告はあくまで、そのお店が持っている条件を“拡張”するだけです。
よくある失敗パターンがあります。「とりあえず代行に丸投げ」。素材も任せる、方向性も任せる、数字の意味もよくわからないまま月額を払う。これ、かなり危険です。なぜなら、広告がうまくいかなかったときに、何が原因なのか誰も説明できなくなるから。代行側も悪気はない。でも、判断軸が共有されていないと、「回しました」「データはこうです」で終わってしまう。
もう一つ、代行に期待しすぎるポイントがあります。それは、「広告が売上を作ってくれる」という発想。実際には、広告は入口にすぎません。来店に繋がるかどうかは、投稿内容、キャンペーン、店の使いやすさ、価格の納得感、全部セットです。入口だけ整えても、店内が噛み合っていなければ、人は戻ってきません。
だから、「自分でやるのは無理そうだから代行」という選び方をすると、だいたい同じところでつまずきます。自分でやっても、代行に頼んでも、見ている指標がズレていれば結果は変わらない。ここ、かなり重要です。
じゃあ、代行は意味がないのか。そんなことはありません。判断軸が整理されていて、役割分担が明確なら、代行は強力な武器になります。でもそれは、「全部任せる」という意味ではなく、「広告運用という作業を切り出す」という感覚に近い。
本当に考えるべきなのは「自分でやるか」「代行か」じゃない

ここまで読んで、「結局どうすればいいの?」と思っているかもしれません。でも、先に答えを言ってしまうと、この問い自体が少しズレています。本当に考えるべきなのは、「自分でやるか」「代行に頼むか」ではありません。考えるべきなのは、“その広告で何を判断したいのか”です。
多くの飲食店オーナーさんは、インスタ広告を「集客ツール」として見ています。もちろん間違いではありません。ただ、その前に一段階、整理しておきたいことがあります。今あなたが広告で欲しいのは、来店なのか。認知なのか。それとも、テストなのか。このどれかで、やるべきことは大きく変わります。
例えば、「今すぐ来店を増やしたい」のであれば、広告単体でどうにかしようとするのは、正直かなり無理があります。立地、価格、キャンペーン、導線、全部が噛み合っていないと成立しません。逆に、「この価格帯、この打ち出しで反応があるか知りたい」という目的なら、インスタ広告はかなり使えます。少額で仮説検証ができる。これは、広告の強みです。
ここが整理されていないと、判断が全部ブレます。フォロワーが増えても「これって成功?」と迷うし、来店が増えなくても「失敗なのかな?」と不安になる。軸がないから、数字に振り回されるんです。自分でやっても、代行に頼んでも、この状態だと結果はあまり変わりません。
もう一つ大事なのは、広告は“答え”じゃなく、“材料”だということ。広告を出せば正解が手に入るわけではない。あくまで、「この打ち出しは弱いな」「この価格帯は重いな」「この立地だと反応が鈍いな」という材料が手に入るだけです。その材料をどう解釈して、次にどう活かすか。ここが一番重要です。
だから、「自分でやるか」「代行に頼むか」は、実は後回しでいい。先に決めるべきなのは、「この広告で何を知りたいのか」「何が分かれば前に進めるのか」。これが決まっていれば、自分でやってもいいし、代行に頼んでもいい。逆に、ここが曖昧なまま選択すると、どちらを選んでもモヤモヤします。
ここまでの話で、一つだけ違和感が残っていれば十分です。「インスタ広告って、思ってたよりシンプルじゃないな」と感じたなら、今日はそれでOKです。
次は最後に、僕自身が遠回りして気づいた、インスタ広告とのちょうどいい距離感について話します。押し付けるつもりはありません。ただ、一つの考え方として置いておきます。
僕が遠回りして気づいた、インスタ広告とのちょうどいい距離感

ここまで読んでくれたなら、もう気づいていると思います。インスタ広告は、魔法でもなければ、悪者でもない。使い方を間違えやすいだけです。そして一番の問題は、広告そのものではなく、期待の置き方でした。
僕は昔、「広告を出せば何かが変わる」と思っていました。フォロワーが増えれば流れが変わる、再生数が回れば来店が増える。正直、どこかで“きっかけ待ち”をしていたんだと思います。でも、現実は違った。広告を回しても、店の強みが曖昧なら結果は曖昧なまま。価格帯と訴求がズレていれば、反応は鈍い。立地に合っていなければ、数字だけが残る。
ここでやっと腹落ちしました。**インスタ広告は、集客装置じゃない。判断装置だ。**何が刺さらないのか、どこで離脱しているのか、今の店の立ち位置はどこなのか。それを冷静に教えてくれるツールなんです。だから、広告を出した結果「来店が増えなかった」としても、それは失敗じゃない。何も考えずに続けることが、失敗です。
自分でやるのもいい。代行に頼むのもいい。どちらが正解かなんてありません。ただ一つ言えるのは、考えずに選ぶと、必ず遠回りするということ。僕がそうでしたから。広告費を使って、ようやく気づいたこともたくさんあります。
もし今、あなたが「フォロワーは増えたけど、これって意味あるのかな」「自分で続けるべきか、代行に頼むべきか迷っている」と感じているなら、それは感覚が間違っていない証拠です。モヤっとしている時点で、もう次の段階に来ています。
今日は答えを出さなくていい。ただ一つだけ、自分に問いを残してほしい。
この広告で、何を判断したいのか。
それが言葉にできたとき、インスタ広告は“怖いもの”じゃなくなります。
選ぶのは、あなたです。
でも、考えた上で選んだ道なら、少なくとも無駄にはなりません。
——さて。
ここまで整理した上で、次に考えるべきは「じゃあ、どう設計すれば判断できる広告になるのか?」ですよね。
それはまた、別の記事で
補足|もし、ここまで読んで引っかかるものがあったなら
ここまで読んで、「あ、これ自分の店のことだな」と一瞬でも思ったなら、たぶんその感覚は正しいです。インスタ広告が悪いわけでも、自分のやり方が致命的に間違っているわけでもない。ただ、判断するための材料が揃っていなかっただけ。僕はそういうケースを何度も見てきました。
実際、広告がうまくいかない相談の多くは、「広告のテクニック」ではなく、「前提の整理」で止まっています。立地、価格帯、業態、キャンペーン。どこをテストすべきで、どこは触るべきじゃないのか。ここが整理されるだけで、広告の見え方は一気に変わります。
もし、「自分でやるか」「代行に頼むか」を決めきれずにいるなら、無理に答えを出さなくて大丈夫です。先にやるべきなのは、この店は広告で何を判断すべきフェーズなのかを言葉にすること。その整理ができた人から、次に進めています。
このあたりの考え方は、別の記事で、もう少し具体的に掘り下げる予定です。広告の話というより、「飲食店が遠回りしないための考え方」に近い内容になると思います。興味があれば、そちらも読んでみてください。

